経営学部 商学科
経営学部 商学科
「長年にわたりライバル(競合)は7社だったはずが、ある時、気が付けばライバルが360社に。あなた達はどうやって生き残りますか?」
講師の緊迫感にあふれる問いかけが、特殊講義A(サービス産業論)冒頭で響きわたりました。
2018年7月19日(木)の3限、前期の総括として(株)サンテレビジョンの那須営業部長お迎えして、『テレビ視聴の最新事情とサンテレビジョンの取り組み』と題する講義を開催しました。兵庫県を主な放送対象地域とするサンテレビが目指すのは「地域に根ざした放送」。地元のニュースや情報発信はもちろんのこと、兵庫県にフランチャイズを置く阪神タイガースの完全中継などはサンテレビのベースであって、地域の人々とともに考え、ともに語り、ともに行動するという基本方針に沿って毎日の放送事業を行っているそうです。
しかしながら昨今の放送業界は環境が激変しています。那須部長は360を超える多チャンネル時代に向き合い、各放送局だけではなく動画配信等のネットビジネスの動向も視野に入れながらサンテレビの戦略を次々に語ってくださいました。まず「地域に根ざした」という社の基本方針を実践する事例としては、サンテレビの地元・神戸を舞台とした映画製作を手掛けられている取り組みを紹介。さらに阪神淡路大震災から20年という節目を迎えた際には、震災を覚えていない世代の制作スタッフのみで、社が保有する大量のアーカイブ映像を掘り起こし、大型報道企画として今の若者の目線でメッセージを発信した概要を紹介してくださいました。一方で新規顧客獲得のためにオリジナルのアニメ作品に投資する際には、作家や声優との早い段階からの関係性構築がいかに重要なのか。その後の全国展開や海外展開をどのように描けるのかなど、競合を意識したアニメビジネスの奥深さについて語られました。
随所に最新事例が織り込まれた講義は「大切なのはメディアとしてコモディティ化しないこと、サンテレビの特徴を発信し続けることです!」と那須部長の力強い決意で締めくくられました。普段は何気なくテレビを見ている学生からも、斬新なアニメ声優の起用方法やタイガース戦中継についての質問が出るなど、非常に刺激的な90分となりました。