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工学部 機械工学科

【特集】小惑星探査機「はやぶさ」を超えて!目指せ、新型ロケットエンジンの開発!(2/3)

2020年4月30日 工学部 機械工学科

宇宙推進ロケット工学研究室の研究活動

 宇宙推進ロケット工学研究室(Advanced Rocket Laboratory)は、宇宙航空 未来輸送システム 研究開発拠点(Research & Development Base on Future Aerospace Transportation Systems)として、先端宇宙推進ロケット工学を中心に、幅広い研究開発を行っています。将来の有人火星探査、太陽系惑星探査、月基地建造物資輸送、太陽発電衛星建造物資輸送などに用いられる、各種の電気推進ロケットエンジンの開発研究とそれらエンジンシステムを用いた、地球人類の太陽系惑星間航行及び太陽系脱出計画の立案、実際に小型人工衛星の設計製作、JAXA・H-II/IIIロケットやインド宇宙研究機関(ISRO)PSLVロケットによる衛星打ち上げとその運用、電気ロケットの宇宙噴射実験・噴射による衛星の軌道変更実験、さらに宇宙ゴミ処理技術の開発、小惑星・地球衝突回避技術の開発などを行い、近未来の宇宙開発への貢献を目指しています。
 本研究室では、JAXAや航空宇宙関連メーカーとの共同研究が活発であり、米国のマサチューセッツ工科大学、プリンストン大学、ジョージア工科大学、ジョージワシントン大学、ドイツのスツットガルト大学、韓国の韓国科学技術院、中国の西北工科大学、大連工科大学などとの国際交流も積極的に行われており、世界有数の宇宙工学研究室です。その所有する実験装置システムの総合規模は日本の大学では最大です。
 大型高真空チャンバーと大容量真空排気ポンプのシステムを数多く有し、新しく開発した、新型の電気推進ロケットエンジンを、宇宙真空環境を模擬できる真空スペースチャンバー内に設置して噴射実験を行います(図1)。大量の推進剤ガスを噴射しますが、ロケットエンジンの周りは常に宇宙の高真空を維持しなければならないので、大排気速度の真空ポンプを用いて排気しています。
 こうして、大型実験装置を用いた作動実験を繰り返し、高推進性能と長寿命を有する宇宙航行用ロケットエンジンシステムの開発を行っています。

深宇宙探査用ホール型イオンロケットエンジン実験装置システム(真空チャンバーの直径1.2 m、長さ2.25 m:ターボ分子ポンプ排気速度10,000 L/s)
エンジン真空作動試験中の高速噴射流(推進剤ガス:キセノンガス)の様子

図1 実験装置と噴射実験

 また、誰もが持つ、子供のころの飛行機やロケットへの憧れを決して夢だけにはさせないように、親しみある、誰もが気楽に楽しむことができる、市民の航空宇宙を目指します。具体的には、航空宇宙工学に関する講演・市民講座、中学・高校に出向いて小型ジェットエンジンの運転や宇宙航行用イオンロケットエンジンの噴射などのデモを行ったり、ペットボトルロケットの製作・打ち上げ教室を開催し、活発な啓蒙活動を行っています。宇宙はもう決して夢ではありません。努力すれば誰でも手が届くのです。是非一緒に宇宙を目指しましょう!